皆様はプレーベルという会社をご存知でしょうか。実は国内有数のカーペットメーカーなんです。
オリジナルの企画開発したカーペットから輸入カーペット、世界に一つしか無いような高級なペルシャ絨毯まで様々な絨毯、カーペット、ラグを取り扱っています。今回は横浜の山下公園の目の前にある、横浜産貿ホール マリネリア大展示場にて行われた「秋冬展示会 Carpet Collection」をご訪問しました。
一般的に絨毯・カーペットというと柄の違いは気にしても、それ以外はほとんど同じというか気にしていない方が多いのではないでしょうか。最近の絨毯・カーペットは、新しい素材や製造方法によって、日常生活のクオリティを向上させることができます。今回のイベントでは、プレーベルの人気の定番シリーズをはじめ、様々な素材を巧みに使った新作カーペットが発表されていました。
プレーベルの土屋課長様に商品のご紹介をしていただきました。
新しい民族調コンセプト「Nomadic Modern/ノーマディックモダン」の新作カーペット
Q:イベント会場に入ってすぐに民族調の雰囲気のあるカーペットが展示されていますが、こちらはどのようなカーペットですか。
A:こちらは北欧・スカンジナビアデザインのベルギー製カーペットのノーマディックシリーズです。ざっくりとした感じを表現しつつ長めのパイルで、色合いとデザインは砂漠で遊牧民の生活の風景をイメージするようなデザインを採用しています。機械織りのカーペットになりますが、一番クオリティが高いと言われているベルギートップメーカーの意匠デザインを独占契約して直輸入しています。
このカーペットの裏側にディスプレイされているのも、同じノーマディックシリーズ「ルーリー」です。こちらはよりお求めやすいベーシックなグレードになります。
今迄のカーペットですと「クラシック」と「モダン」というある意味、両極端な商品展開が有りがちでした。この「ルーリー」をはじめとして今回の新作カーペットは、民族調だけどクラシックでもモダンでもない「Nomadic Modern」という新しいコンセプトをご提案しております。
同じ「Nomadic Modern」の新作カーペットがこちらの「ピアソン」です。
カタログでは少し分かりにくいですが、触って頂くと立体感があるんですね。柄と柄の境目が立体的に段差が付いてる様に仕上げられています。
Q:本当ですね。立体感があります。これは面白いですね。
A:これは「糸抜き」という処理をしています。一列分だけ糸を入れていないので、その部分だけが沈みます。それでこのような立体感が得られるわけです。今回展示の新作の中でも非常に評価の高いカーペットのひとつとなっています。
Q:こちらは私も知っています。プレーベルさんの人気カーペットですね。
A:こちらは継続商品になりますが、前年実績で2位の人気カーペット「ヴォルテ」です。
遊牧民の生活から生まれた「ギャベ」が人気がありますが、本物は手織りのウール製なんです。それを、なんとかお求めやすい価格帯でご提供できないかと、機械織りのポリプロピレン繊維を使って作られたカーペットになります。ギャベ風の民族調絨毯を気軽に楽しめる人気のシリーズとなっております。サイズの玄関マットサイズから240×340cmの6畳程度のサイズまで多彩なバリエーションをご用意しています。このカーペットはベルギー製で、ランクとしてはミドルクラスの設定となっております。
絨毯の場合は、基本的に「目付(毛の量)」に応じて値段が上がって行きますので、値段が上がれば上がるほど「目付」が良くなります。結果としてクオリティが良くなり、細かい柄を表現でき丈夫になるわけです。
ウール製の高品質な機械織りカーペットも世界中から集めています。
Q:こちらはウール製のカーペットですか?高そうですね。
こちらはウール製のモダンスタイルのカーペット「オルフェ」です。国内はもちろん世界的にもウールのモダンタイプは少なく成っています。従来ですとベルギー製がメインでしたが、ヨーロッパの市場が冷え込んでしまって、ベルギーで高級なウール製カーペットを製造しなくなってしまいました。なんとかお手頃で質の良いウール製品をご提供できないかと探した結果、東ヨーロッパにたどり着いたわけです。
ウールという素材は、毛玉や遊び毛が出やすい繊維なんですが、これはウールの繊維的な特徴でもあるので変えようがありません。しかし、番手(糸の太さ)と目付(毛の量)を工夫することで、毛玉や遊び毛が出るのをなるべく少なくしていくことが可能です。
この「オルフェ」は、ウールの良さを楽しめる、しっかりとした品質とお手頃価格が両立したカーペットと言えます。
こちらのカーペットは新作ではないのですが、非常に人気のある「ピエッサ」です。機械織りカーペットでは珍しいアイボリー糸のカラーなんですが、意外な人気があります。
Q:白っぽい柄は汚れが目立ちそうなイメージがありますが…、どうなんでしょうか。
A:カーペットで、アイボリー糸のカラーは珍しいです。お客様も多少はこの「白さ」を気にしているようですが、結局お買い求めになっていますね(笑)。
実はこの「ピエッサ」も先ほどの「ピアソン」と同様に、糸抜き処理で柄に立体感を付けています。単調なアイボリーではなく、パッチワークのような複雑な柄と「糸抜き」の立体感が、カーペット全体に変化を付けています。大胆なアイボリー色と他に無い個性的な柄に人気が集まったのでしょう。
Q:定番のクラシック系の絨毯コーナーに入りました。やはり重厚感というか存在感が違いますね。
A:こちらはクラシックの機械織りカーペットになります。クラシック系は伝統的なペルシャ絨毯柄を再現したものが中心です。こちらの「キャラハン」を触っていただくと分かると思いますが、すごくボリューム感があります。これだけのボリューム「目付(毛の量)」があると柄も細かく表現ができるわけです。こちらの絨毯はクオリティの高いことで定評のあるベルギー屈指のメーカーです。
こちらの「オービルⅡ」はウールカーペットの中では、当社で一番「目付」の良いシリーズになります。女性的な花柄のデザインが印象的ですが、花の中に少し光っているところがあります。シルクが使われています。こちらもベルギー製の機械織りですが、このあたりのクラスになりますとグレードも高くなっており、柄も精緻で遊び毛も出にくく、耐久性に優れたカーペットになります。
そして、こちらはウールではありませんが、機械織りカーペットの中で「目付」の良い「ルーベン」です。すごく目が細かいので柄がキレイに出ています。価格もクオリティを考えるとお求めやすい設定になっております。
クラシック系最後にご紹介するのが、プレーベルの機械織りカーペットでは、昨年実績で1位の「グランドール」です。
機械織りのウィルトンカーペットの中ではトップの実績を誇っています。サイズ展開も豊富で、玄関マットサイズから340×340cmの8畳サイズまで揃えています。伝統的な重厚感のあるパターンとやさしい色使いが魅力で、価格もお求めやすい設定になっています。
ウィルトンカーペットとタフテッドカーペットの違い
Q:ここから別のブースに移動しますが、重厚な感じのカーペットとはまた違ったイメージのカーペットが並んでいます。引き続き、土屋課長様にご説明をして頂きました。
A:先ほどのブースにあったのがウィルトンカーペットですが、こちら側のブースはタフテッドカーペット(タフトカーペット)になります。同じ機械織りでもその構造、特性は全然ちがいます。
ウィルトン織りはイギリスのウィルトン地方発祥の織機で作られた絨毯のことですが、2枚の下地に同時に織り込んでいきます。そして表面が合わさった状態のものをカットして2枚にしますので、鏡のように同じ柄が二つ存在することになります。
対してこちらのタフテッドカーペットは、アメリカ生まれの織機が使われるのですが、何十メートルも一気に大量生産することができます。ウィルトンのように織ってあるのではなくて、基布に糸を刺し込んでいきます。そしてその基布と不織布をラテックスという接着剤で固定して完成させます。ウィルトンは織ってあるカーペット。タフトは接着してあるカーペットということです。
タフテッドカーペットの長所は、大量に安く生産できるということに尽きます。短所としては、あまり細かい柄が作れない点。無地や単純な柄が多くなってしまうのですが、根強い人気があります。
ナイロン繊維はウールやアクリル繊維と比べて、遊び毛が出にくく、ケバ立たない。耐久性が高いという特徴があります。
展示の「ジャスパー」というシリーズは、ナイロン素材のタフテッドカーペットで、多彩なサイズ、形、楕円もあります。カラーも8色ご用意しておりますが、特に人気があるのがベージュ、グレー系のグレージュ、グリーン系のリーフの3色になります。実は結構リピーターのお客様もいらっしゃいまして「ジャスパーってどれですか?」とご指定される方もいらっしゃいます。
カーペット内部にアルミ材を使用した夏涼しく冬暖かい機能性カーペット
A:「ジャスパー」と同じ繊維でおしゃれな柄が入ったタイプがこの「ジオーニ」になりますが、このカーペットにはもう一つ大きな特徴があります。
ナイロン糸を差し込んでいる基布の間にアルミ材を入れています。そうすることで、より冷房や暖房の効果をアップし、省エネ効果が期待できます。夏はひんやり、冬あったかとなるわけです。
優れた耐久性のナイロン素材に印象的な柄が入り、加えて省エネ機能も加えた機能性カーペットということで、高いご評価をいただいているカーペットになります。
こちらの「フェミナ」は、ウレタンクッションを厚めにしてクッション性、防音効果をアップしたカーペットです。また、アレルゲン抑制物質「アレルフレッシュ」によりアレルギーの原因となるダニやホコリを抑制できます。汚れても洗濯機で丸洗いが可能です。
日本人はソファで生活をしていても、床に直接座る生活スタイルがなくなることはありません。やはり足元だけでなく、横になっても気持ちのよいカーペットが求められていると思います。
フックガンを使った国産ハンドメイドの「フックラグ」
Q:こちらのコーナーは国産のハンドメイドラグということなんですが、本当にひとつひとつがハンドメイド?
A:フックガンと呼ばれる機械で職人が1本1本パイルを刺し込んでいきます。タフテッドカーペットは、下地の基布に全て機械が刺し込んで行きますが、こちらは職人がフックガンでひとつひとつ刺し込んでいるわけです。
ですから、デザインや色数等複雑な対応が可能です。また、日本製は海外の同じ製法と比べ、巧みな素材感を上手に醸し出す事が可能です。
こちらの奥にあるのがフックラグで「別注」が可能なタイプになります。お客様のご要望に合わせてサイズオーダー製作を行います。従来ですとこのような「無地」タイプのサイズオーダーが主流だったんですが、当社の場合では、柄のあるものも「連続柄」としてサイズオーダーが可能になっています。こちらの「バリス」が柄のサイズオーダー可能ラグになります。
Q:こちらの北欧系の新作ラグ、こちらも「フックラグ」ですか?
A:赤羽美和さんというデザイナーとコラボレーションをした新作ラグです。もちろんフックガンを使ったハンドメイドラグになります。微妙な色合いが混じった部分も全てフックガンで「手刺し」しています。デザイナーさんの要望に応えるよう、なんとか作り上げた自信作です。
スウェーデン等の北欧系テイストのラグが中心で、幸せの青い鳥から連想した「AOITORI」や、六角形のフォルムが印象的な「TRAIL」等があります。六角形のラグを単体で玄関マット等として使ってもよいし、このように繋げて自由な使い方も出来ます。普通の四角いカーペットの固定概念に捉われない新しい提案をさせて頂いております。
本日は、ありがとうございました。
「プレーベル」の展示会「Carpet Collection」のほんの一部ですが、ご紹介させていただきました。実は、まだまだたくさんの絨毯、カーペットが展示されているのですが、全てをご紹介することができません。また、別の機会にご紹介できればと思います。
見た目の美しさはもちろんのこと、カーペットの専門メーカー「プレーベル」ならではのクオリティ・機能性等を追求した製品作りに驚くばかりでした。
絨毯、カーペットと「ひとくくり」にしてしまって、お値段しか見ていないことって意外と多いと思います。
これからはお値段だけでなく、カーペットのクオリティや機能面をチェックしていただき、質の高いカーペットを手に入れて下さい。快適な生活を送ることができるはずです。